2003年3月アーカイブ

Matilda

| コメント(0) | トラックバック(0)

coverRoald Dahl
これは、ダールの児童書にしてはちょっとしっとりしたフンイキです。
4歳にして自力でディケンズを読破する天才少女マチルダの両親は、俗っぽさを
一身に集めたような、娘には関心のない人たちで、彼女の賢さに気付きません。
というより、本能的に感じて、それを嫌悪している感じ。すごくデフォルメして、
「そんな人いないでしょー」というくらいに表現されているけれど、
そのじつ、子供の生活では小さく小さく誰でも経験しているような大人の行動を
鋭くついていますね。

子供のころは、実は違う、もっと素敵な親の子だったらいいのに、
なんて夢見たこともあったっけ。(ごめんね)

cover

SSSを知って多読をはじめたころに、図書館で借りて読みました。
子供のころ読んですごく面白かった本。
私はチョコレートが大好きなので、チャーリーが大切に大切にチョコレートを食べるところには
興奮したものです。金のチケットなどにも。
この本は、できれば小学校の3年生から5年生くらいまでに読んでもらいたい本。
大人になって原書で読むと、あら、こんな感じだったんだ!と、印象が変わりました。
それは、翻訳ではあの文章のはずんだ感じがわからないからなのかな。
ダールはテンポがよくて、形容詞などが分からなくても、
ちゃんと話についていけるので、知らない単語は容赦なく飛ばすことを
体験させてくれます。
邦題を覚えていただけで、Big Fat Catで紹介されて、Amazonでトップになっていたので、
「あの本の原作だ!!!」と、飛びついた次第。(著者の名前も知らなかったのでした)

Black Beauty

| コメント(0) | トラックバック(0)

coverBlack Beauty(Penguin Readers: Level 2)
作者:Anna Swell(1820-1878)
Norforld,England生まれ。
出版1877年。唯一の作品です。詳しく知りたい人は、下のURLへどうぞ。(英語)


あらすじ
当時、イギリスは"hell for horse" と呼ばれているほど、一般的に馬の扱いがひどかった。

この本は、黒い美しい馬Black Beautyの生涯を通して、様々な馬たちの
苦難や幸せの日々を描き、相手の立場で考えることを教えてくれる。
馬の苦労は、鞭打たれたり、過酷な労働ばかりではない。
流行も、馬たちには困ったことだった。

また、様々な馬に関わる人々の人生の断面を垣間見ることができます。
19世紀末のイギリスの暮らしを馬からみた側面、そんな部分をのぞいてみたいひとにおすすめ。

馬による語りになっています。1章が短くて、読みやすい文章です。
小さなエピソードの積み重ねからできているお話なので、大きな盛り上がりはありませんし、
気の効いたところや楽しさを求める人にはお勧めしません。

***

作者は、とてもやさしくて、正義感の強い人だったのだろうと思います。
そして、信心深かったかも。
馬の世話の見習の少年が、世話を間違って馬を病気にしてしまうところで、
Johnが、「知らないでは済まされない」ということを激しく言うシーンがあります。
確かに、「悪気がなかった」で済めば、被害者はどうなるんだ、と思いますよね。
このあたり、大変強いインパクトがあり、あまり、小説などでそんな真っ直ぐな主張を
読んだことがないような気がしますが、著者が強く訴えたいことではないかと思いました。
教育や啓蒙(堅い?)の必要を感じていたのだろうと思います。

ふむ。私もこの年になっても知らないことは山のようにあります。
知らなくてもいいことはそれでもいいのだけれど、知っておくべきことは
学んでいかないといけませんね...

2本の映画化作品があります。

1)1994年 89分。 ショーン・ビーン他。
cover監督はキャロライン・トンプソン(「シザーハンズ」「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」)

ショーン・ビーンは、Black Beautyが生まれた農場の主の役です。ほんの初めだけ。
映画では、馬と景色の美しさ、少年Joeとのふれあいが強化され、本来多くの飼い主を
点々とするところを数を絞って、でも、なるだけ多くのエピソードを生かしています。
原作より、映画向けにちょっぴり派手に演出しています。Jerry役の人が暖かくて、
ユーモアがあって、素敵でした。そう、原作よりも、ふっと笑えるシーンも多く、
デフォルメもあり、綺麗にまとまっています。

私が以前に住んでいたところでは、娘たちの通う保育園の真ん前が、
馬の放牧地でした。そこには1頭の馬がいて、草を食んだり、軽く走ったりしていました。
そのイメージで勝手に馬を飼う場所は田舎、と思い込んでいたら、ビデオを見て納得。
いわば、ごちゃごちゃの街中の、ガレージ付の家のようなところだった。(辻馬車)
そりゃそうですよね。なんか、勝手に、郊外から町に通う姿を想像していたけど、
農場主じゃあないんだもんね。

2)1970年 106分。 マーク・レスター。
cover監督ジェイムズ・ヒル 

こちらはお話はかなり変えてあります。マーク・レスターが可愛いですが、
馬は目立ちません。その代わり、著者、Anna Sewellらしき人物や、
彼女による張り紙が登場します。とってつけたような感じでした。

☆原作の良さを残しつつ、映画ならではの魅力を付け加えている、
1994年版が私のおすすめです。

■ 古いお話なので、free etextで読むことができます。

ウェブページ

Powered by Movable Type 5.12

このアーカイブについて

このページには、2003年3月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2003年2月です。

次のアーカイブは2003年4月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。