Black Beauty

| コメント(0) | トラックバック(0)

coverBlack Beauty(Penguin Readers: Level 2)
作者:Anna Swell(1820-1878)
Norforld,England生まれ。
出版1877年。唯一の作品です。詳しく知りたい人は、下のURLへどうぞ。(英語)


あらすじ
当時、イギリスは"hell for horse" と呼ばれているほど、一般的に馬の扱いがひどかった。

この本は、黒い美しい馬Black Beautyの生涯を通して、様々な馬たちの
苦難や幸せの日々を描き、相手の立場で考えることを教えてくれる。
馬の苦労は、鞭打たれたり、過酷な労働ばかりではない。
流行も、馬たちには困ったことだった。

また、様々な馬に関わる人々の人生の断面を垣間見ることができます。
19世紀末のイギリスの暮らしを馬からみた側面、そんな部分をのぞいてみたいひとにおすすめ。

馬による語りになっています。1章が短くて、読みやすい文章です。
小さなエピソードの積み重ねからできているお話なので、大きな盛り上がりはありませんし、
気の効いたところや楽しさを求める人にはお勧めしません。

***

作者は、とてもやさしくて、正義感の強い人だったのだろうと思います。
そして、信心深かったかも。
馬の世話の見習の少年が、世話を間違って馬を病気にしてしまうところで、
Johnが、「知らないでは済まされない」ということを激しく言うシーンがあります。
確かに、「悪気がなかった」で済めば、被害者はどうなるんだ、と思いますよね。
このあたり、大変強いインパクトがあり、あまり、小説などでそんな真っ直ぐな主張を
読んだことがないような気がしますが、著者が強く訴えたいことではないかと思いました。
教育や啓蒙(堅い?)の必要を感じていたのだろうと思います。

ふむ。私もこの年になっても知らないことは山のようにあります。
知らなくてもいいことはそれでもいいのだけれど、知っておくべきことは
学んでいかないといけませんね...

2本の映画化作品があります。

1)1994年 89分。 ショーン・ビーン他。
cover監督はキャロライン・トンプソン(「シザーハンズ」「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」)

ショーン・ビーンは、Black Beautyが生まれた農場の主の役です。ほんの初めだけ。
映画では、馬と景色の美しさ、少年Joeとのふれあいが強化され、本来多くの飼い主を
点々とするところを数を絞って、でも、なるだけ多くのエピソードを生かしています。
原作より、映画向けにちょっぴり派手に演出しています。Jerry役の人が暖かくて、
ユーモアがあって、素敵でした。そう、原作よりも、ふっと笑えるシーンも多く、
デフォルメもあり、綺麗にまとまっています。

私が以前に住んでいたところでは、娘たちの通う保育園の真ん前が、
馬の放牧地でした。そこには1頭の馬がいて、草を食んだり、軽く走ったりしていました。
そのイメージで勝手に馬を飼う場所は田舎、と思い込んでいたら、ビデオを見て納得。
いわば、ごちゃごちゃの街中の、ガレージ付の家のようなところだった。(辻馬車)
そりゃそうですよね。なんか、勝手に、郊外から町に通う姿を想像していたけど、
農場主じゃあないんだもんね。

2)1970年 106分。 マーク・レスター。
cover監督ジェイムズ・ヒル 

こちらはお話はかなり変えてあります。マーク・レスターが可愛いですが、
馬は目立ちません。その代わり、著者、Anna Sewellらしき人物や、
彼女による張り紙が登場します。とってつけたような感じでした。

☆原作の良さを残しつつ、映画ならではの魅力を付け加えている、
1994年版が私のおすすめです。

■ 古いお話なので、free etextで読むことができます。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://bookshelf.hacca.jp/kotatu/mt/mt-tb.cgi/2826

コメントする

ウェブページ

Powered by Movable Type 5.12

このブログ記事について

このページは、sumisumiが2003年3月12日 22:10に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「Fly Away Home (Penguin Readers: Level 2)」です。

次のブログ記事は「Charlie and the Chocolate Factory」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。