翻訳夜話

cover村上 春樹 (著), 柴田 元幸 (著)

東京大学の柴田教室と翻訳学校の生徒、さらに6人の中堅翻訳家という、異なる聴衆(参加者)に向けて行った 3回のフォーラムの記録。「夜話」とあるように、話の内容はいずれも肩の凝らない翻訳談義だが、レベルの異なった参加者との質疑応答の形をとっているために、回答内容は自ずから微妙に変奏されており、結果として入門、初級、中上級向けの3部構成の翻訳指南書に仕上がっている。(amazonより)

第3部では、カーヴァーとオースターの短編をとりあげて、「海彦山彦」として、競演が行なわれている。巻末に原文が掲載されているので、まず原文を読んでみてからお2人の競演をよんでみました。もともと、オースターを読んでいるところだったので、この短編目当てに借りた本でしたが、読んでみると、とても面白く、楽しいひと時を過ごせました。

おふたかたの翻訳に対する姿勢は自然体で、共感できます。それでいて、緻密でもありますし、真摯。本当に作品を愛していると感じます。翻訳を目指していなくても、ただ翻訳文学を読んでいる立場、洋書を楽しんでいるだけの立場でも、読む値打ちがありました。

村上春樹さんにとっての翻訳は癒しでもあり、また、模写でもあるようです。

掲載の短編:
Collectors / Raymond Carver (7ページ)
Auggie Wren's Christmas Story / Paul Auster (8ページ)

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.21-ja

このブログ記事について

このページは、sumisumiがMay 24, 2003 11:43 PMに書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「読む力を育てる マーガレット・ミークの読書教育論」です。

次のブログ記事は「Skellig」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。